■行動科学マネジメント®は〝機械的〟なもの?
行動科学マネジメント®は、ときに
「冷たい」
「機械的」
「部下をコントロールするだけの手法」
そんなふうに誤解されることがあります。
その理由のひとつは、
「科学的」
「具体的」
「再現性がある」
「内面ではなく行動を見る」
こうした特徴を表す言葉だけが先に一人歩きしてしまうからでしょう。
しかし、もちろんこれは大きな誤解です。
前回お話ししたように、
「生真面目さ」
「協調性、チームワークの尊重」
「背中を見て育つ」
「言わずともわかるだろう」
こうした〝日本独自の〟企業文化(あるいはビジネス文化)をないがしろにせずに考慮したことは、行動科学マネジメント®の日本での普及にたしかに大きな役割を果たしたと考えています。
そもそも相手の内面に踏み込むようなマネジメントは、本当に相手を尊重していると言えるでしょうか。
相手の価値観や性格を変えようとすることは、一見熱心な関わりに見えて、実は相手の自由や主体性を奪ってしまうことにもなりかねません。
行動科学マネジメント®は、相手の個性や性格を変えるものではありません。成果に結びつく「行動」の変容のみにアプローチする。これが行動科学マネジメント®の方向性です。
したがって、たとえば日本の企業文化によく見られた「飲みニケーション」も、ただ単に全否定するのではなく、その場を〝内面に踏み込んで相手を変える機会〟にはしないこと。
こうした提案は、これまで一貫して行ってきました。
■目的を持った飲み会とは
参加の強要、ハラスメントまがいのふるまい……。こうしたことは今に限ったことではなく、いつだってNG。
これもかつてから熱心に主張してきたことです。
しかし、部下が積極的に上司や社員と交流を持ちたいならば、協調性を育む意味でも、飲みニケーションは害悪だけではないでしょう。
「就業時間外での社員との接触は一切ご法度」といった極端なルールの押し付けも、かつては特に無理のあるものでした。
では、望ましい飲みニケーションとはどういうものだったか?
それは、上司が「目的」を明確にしたうえで行うものです。
では、何を目的とするのか?それは、相手の「動機付け」を見つけるためです。
「仕事ってこんなに楽しいものなんだよ!」
「君の力が必要なんだよ。一緒にがんばろう!」
飲みの場に誘い、そんな話をして相手の気持ちを鼓舞する。
相手も「わかりました!これからがんばります!」と、こちらの話に響いてくれた模様。
しかしその相手は、後日「辞めたいのですが」と辞表を持ってきた……。
こんな例は何度も聞いたことがありますし、残念ながら若き日の私にも、似た経験があります。
これは飲み会に限らず、面談や1on1でも起こりがちなことです。
「人の内面を変えるのは、そう簡単なことではない」これはまぎれもない事実です。
そこにフォーカスするマネジメントは、なかなかうまくいかない。
では、何を変えるべきなのか?
繰り返しになりますが、それは相手の「行動」そのものです。
そしてその行動を変える際の原動力となるのが、「動機付け」です。
飲みニケーションも、単なる精神的な説教や交流ではなく、「相手の動機付けは何か?」を見つける機会にすべきです。
こうした行動科学の基本のキを理解し、実際にさまざまな企業で成果を上げていったことで、おかげさまで行動科学マネジメント®は大きく広がっていきました。
「いや、ちょっと待ってくれ。そもそも〝動機付け〟ってどういうものなの?」
そう思っている方も多いでしょう。
では、人は何によって動くのか?やる気とは何が違うのか?
次回より、行動科学マネジメント®の根幹となる「動機付け」について解説しながら、その概要と仕組みをあらためて見ていきましょう。






