こんにちは、石田淳です。
「評価制度」「評価基準」。
これらはクライアントからよく相談される問題です。
たとえば仕事に対する「やる気」や仕事の「理解度」……。
そういった部下の内面の部分は、必ずしもマネジャーの観察で分かるものではありません。
そういった内面がどこに表われるかといえば、言うまでもなく、相手の「行動」です。
行動科学マネジメントには「行動KPI®」という概念があります。
KPI =Key Performance Indicator。日本語では「重要業績達成指標」、目標達成の度合いを測るための指標です。
行動科学マネジメントでは、この「度合い」を徹底して「行動」に振っています。
何をもって「やる気がある」といえるのか?
何をもって「仕事を理解している」といえるのか?
何をもって「がんばっている」と言えるのか?
それは「どんな行動を、どれだけ重ねているか」ということに帰結するでしょう。
そしてこの「(相手の)行動」こそが、マネジャーが観察可能なものなのです。
しかし現実的には多くの組織で相手の「言動」や「態度」、もっと言えば「雰囲気」といったふんわりとしたもので人を評価しているというのが現実です。
「いいやつだから、がんばっているんだろう」
「人の話をよく聞くから、仕事の理解度も高いだろう」
実はこういったことで部下を「評価」しているマネジャーが意外と多いのです。
厳しい言い方になるかもしれませんが、人材不足の今の日本社会では「(成果に結びつかない)行動」が伴わない人材を抱えるほど企業に余力があるものではありません。
ここで誤解してほしくないのは「行動しない」ことの責任はすべて部下本人にあるということではない、ということです。
行動の起点を作るのは、上司、マネジャーの仕事。
また厳しい言い方になってしまいますが、行動しない部下がいるということは上司、マネジャーの責任でもあるのです。
次回は、マネジャーが提示しなければならない具体的な行動について触れたいと思います。
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■石田淳 著作紹介49
『短期間で社員が育つ「行動の教科書」』
ダイヤモンド社 2018年刊
「採用できない、育たない、すぐ辞める」という悪循環に苦しむ企業の経営幹部・人事教育担当者のための効率的な人材育成システムを解説した一冊。「行動への着目」とはどういうことなのかが、あらためてよくわかります。