こんにちは、石田淳です。
AIを使えば、新人でも短時間で完成度の高い成果物をつくれる時代になりました。
しかし、「成果物ができること」と「仕事が身につくこと」は、同じではありません。
■AI時代の新人たち
「AIに適切なプロンプトを入力すれば、一瞬で望ましい成果物が得られる」
現在の、そしてこれからのビジネスの現場においてこのことは当たり前の前提といえます。
「業務の効率化」という観点からすれば、それはAIの大きな恩恵であり、上司、部下双方にとっても心強い味方であるはずです。
しかし、新しい仕事に慣れていない「新人社員」がスキルを習得する、つまり「仕事を覚える」過程においては、こうした「AI頼み」だけではうまくいくものではありません。
「(自分の)仕事とはどういうものか?」
あえて抽象的な言葉でいえば、それを知り、身につけるためには「自分の頭で思考し、行動する」ということが欠かせないわけです。
AIは「答え」を出してくれる。
でも、その答えを採用する=判断することは新人自身でなければなりません。
こうした判断過程が明確になっていることこそが、自分の仕事を知り、身につけること、〝AIの回答のままだけに動く〟ことからの脱却につながります。
■AIに任せること/自分で考えること
もちろん、新人に「AIを使うな」といえばいいわけではありません。業務効率化を図るためには、むしろAI活用は大いに推奨すべきことでしょう。
ただ気をつけるべきなのは、AIに「すべてを任せる」という発想を助長しないようにする、ということです。
「AIに任せる部分」「自分で考える(判断する)部分」
新人にはこれらを明確にすることを伝えるべきです。
たとえば営業職の場合……。
「顧客への提案のために詳細な資料を作成する」
「定例的なお礼メールの下書きを作成する」
「会議の議事録から市場の動向を探る」
こうした作業は、AIの力を借りられるものです。
しかし、詳細な資料を訪問の際のどのタイミングで出すか?
お礼メールの文面は自身の気持ちがこもったものか?
市場動向をどう捉え活用するかなどは、あくまでも「自分自身」の思惑が左右するものです。つまり、AIではなく、自分の思考を働かせる部分、リアルに体感すべき部分です。
こうした「自分で考え、判断する」を経験させることが、AI時代の新人育成には欠かせないプロセスとなります。
■「自分で考える」練習を
では具体的には、どのような働きかけをするべきでしょうか?
まずは、そもそも「AIの回答を採用した」理由を、新人本人の言葉で説明してもらいます。
どのような問いかけをして、どのような回答が出たのか?
その回答をどのように受け止め、採用したのか?
たとえば回答が複数あった場合には、採用の基準は何だったのか?
これは新人本人の中からしか出てこないものです。
また、いきなりAIに回答を求めるプロセスに入るのではなく、先に自分なりの案をつくり、そのうえでAIが出してきた案と比較する、という作業も試みさせるべきでしょう。
簡単な言葉でいえば、これらが「自分の頭を使う」ことの練習、思考のトレーニングとなるわけです。
そうすることで、新人は仕事を覚え、「自分の仕事」を確立していきます。
■「行動の評価」も忘れずに
さらに忘れてはならないのは、こうした「自分で考えること」を、上司が評価するということです。
「こんなに優れた成果物を出してきた」……それだけを見るのではなく、AIの回答への確認、修正、説明という行動を認め、評価します。
「結果だけではなく、行動そのものを評価する」
これは行動科学マネジメント®の基本であり、行動を変容させ、望ましい行動を習慣化させるために必須の働きかけです。
「AIでできること」「自身がやること」を分ける。
以前、AIによって逆に多忙となる上司の心得としてお話ししたことですが、それは新人も同様。
オールオアナッシング的な考えではなく、初期の段階からこの言ってみれば〝分業〟を習慣とさせることがAI時代の新人育成の要となるでしょう。





