こんにちは、石田淳です。
AIによって部下の仕事が速くなる一方で、上司の確認作業は増えていく―。
今回は、この新たなボトルネックを防ぐ「確認のルール」について考えます。
■AI活用に必須の「確認のプロセス」
今年4月に発行した文庫『無くならないミスの無くし方[決定版]』(日経ビジネス人文庫)で、AIへの依存で起こりうるミスとその対策について触れました。 AIに大きく依存した仕事によって、AIの出力した答えやAIの作業を盲信してしまう。 まさに今月起きたサイバー攻撃や情報漏洩の問題もそうした「人の確認を介さない」ということも一因となっていたでしょう。 何度も繰り返しますが、私たちは仕事でのAI活用を頭から否定するつもりはありません。仕事の効率化、生産性向上、さらにはビジネスでの様々な成果物の増加もAIの恩恵といえるでしょう。 たとえば部下に企画案を提出してもらう。部下はAIを活用して、短時間に複数の案を作成できるようになります。時間の短縮によって余裕ができる、他の業務に時間を割ける。チームにとっても決して悪いことではありません。 しかし、『無くならないミスの無くし方[決定版]』でも書いたように、AI活用の際には「人による確認」というプロセスが欠かせません。今後はこれは当たり前のことと言えるようになるでしょう。 最終確認の責任を担うのは誰か? それは、管理職=上司です。■増え続ける上司の負担
ここで考えなければならないことがあります。 それは前述の、「ビジネスでの様々な成果物の増加」のデメリットの面。 AIを活用することによって短時間で多くの案を作る部下。結果、上司が確認しなければならないものはどんどん増えるわけです。 ここで上司がすべてに時間をかけて細かく確認していては、結果としてチーム全体の仕事のスピードは上がりません。 皮肉なことですが、これがAI活用の落とし穴でもあるのです。■確認の基準や範囲を新ルールに
前回もお話ししましたが、行動科学マネジメント®の理論に基づいた安全管理マネジメントに「BBS」(Behavior Based Safety)は、「安全行動が習慣化されている職場環境」をつくることが事故やミスを無くすためのアプローチとしています。 「AIの活用」という新しい業務のスタイルが普及したならば、当然、それに合わせた「安全行動の再定義」、つまり「新しいルール」が必要になるでしょう。 ルール策定の際に重要なのは、「行動の具体化」。たとえば確認の基準を「しっかり確認する」という曖昧な文言で済ますのではなく、具体的なチェック項目をつくり、「○○と○○をチェックする」といったチェック行動へと変える。 また、上司の「確認の範囲」もここで明確にしておかなければなりません。 「上司がすべてに時間をかけて細かく確認」することが組織の効率を著しく低下させるのであれば、たとえば人が必ず確認する項目と、AIや担当責任者に任せる項目を分類する。上司の判断を待たなくても進められる業務の範囲を明確にする。 こうした取り組みが考えられるでしょう。 そして、まず、今すぐに着手しなければならないのは、現在管理職=上司が確認しているものの洗い出しです。 その上で、確認業務を「やめる・任せる・自分で確認する」に分類してみましょう。 ひょっとしたら「やらなくてもいい確認」や「部下がすべき修正」「不必要な承認作業」が潜んでいるかもしれません。 新しいルールを作る際には、こうした洗い出し作業が必須なのです。この記事は役に立ちましたか?
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