■「属人的な判断」の危険性
前回に引き続き、BCP関連のお話をしていきたいと思います。 災害時に限らず、ビジネスにおいて「適切な判断」が求められる緊急場面は、数多く存在します。 「優秀なリーダーとは、適切な判断ができるリーダー」 このように言われることもあります。 そして、こうした判断の基準となるものが〝リーダーの経験値〟や〝冷静さ〟だと考えられることもしばしばあるでしょう。 「さまざまな場面を切り抜けている経験豊富なリーダー」 「予期せぬ事態にも、慌てず対応できるリーダー」 もちろん、こうした経験や冷静さは大切です。 もちろんこうしたリーダーが悪いわけではありませんが、問題なのは「リーダー次第」に終始してしまうことです。 「このリーダーだからこそ、安全に事業を継続できる」 良い言葉と思われがちですが、言い換えれば、そのリーダーが不在だったり、連絡が取れなかったりした場合には、必要な判断ができない可能性があるということです。 職場のメンバー一人ひとりの経験や性格に判断を任せてしまう場合も同じです。 誰がその場にいるかによって判断が変わる。 担当者がいなければ、組織として動けない。 このような「判断の属人化」を防ぐことも、BCPを機能させるうえで重要な課題です。■誰が判断し、誰に、どのように伝えるのか
たとえば緊急時に使われがちな「落ち着いて判断する」「臨機応変に対応する」といった言葉……。 それを「どう行動すればいいのか」に落とし込むかが「リーダー次第」となってしまう、正解がわからないままになってしまうのは、あまりにも危険です。 大切なのは「危機に対する心構え」ではなく「危機に際してどう【行動】するか」ということ。この点が標準化できていない=判断基準が曖昧な組織は今すぐにでもその内容を検討、ルール化する必要があるでしょう。 「出社」「待機」「避難」「業務停止」。危機に際してどの選択をするか? 「リーダーが不在であったら、動けない」こうした状況は避けなければなりません。 また、判断を誰が行い、誰に向けて、どのように伝達するか? この点も属人化を防ぐうえで、必ず決めておかなければならないことです。 責任者(リーダー)が不在、あるいは連絡困難な場合には誰が判断を引き継ぐのか? それを決めていない組織は、意外と多いものです。 第一の代行者、第二の代行者というように、代行順位と委ねる権限まで決めておかなければ、名前だけの代行者になってしまいます。 想定外の事態が起きた場合にも、誰が情報を集め、誰が最終判断をするのかがわかっていれば、組織は次の行動を選びやすくなります。■誰もが同じ基準で判断できるルール
災害のような緊急時には、混乱や情報不足によって普段通りの判断が難しくなるものです。たとえば「状況に応じて出社を判断する」といったルール……。 しかし、これだけでは、 「どの状況なら出社しないのか」 「誰が出社の可否を決めるのか」 「判断結果をどこで確認するのか」 「会社と連絡がつかない場合はどうするのか」 がわかりません。 そこで、自社の状況に合わせて、たとえば、 「会社が指定した公共交通機関が運休し、代替手段がない場合は出社しない」 「自身と家族の安全を確保したうえで、午前7時30分までに安否確認システムへ現在地と勤務の可否を入力する」 「システムが使えない場合は、直属の上司へ会社指定の連絡手段で報告する」 といったように、判断基準と行動を具体化します。 ここで大切なのは、全員にまったく同じ行動を求めることではありません。 置かれている場所や被害の状況が異なれば、取るべき行動も変わるからです。 必要なのは、誰もが同じ判断基準を理解し、それぞれの状況に応じて、安全な行動を選べるようにすることです。 BCPで決めた判断基準や役割を、誰にでもわかる具体的な行動へ落とし込む。 「安全」という成果も、「望ましい行動」の果てにあるということを忘れないでください。この記事は役に立ちましたか?
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