■マネジャーの仕事は「行動を変える」こと
「なぜ行動を起こすのか」という理由があり、(条件:A)。
その条件を満たすために「行動」を起こす(行動:B)。
行動の後には「結果」が生まれ(結果:C)。
その「結果」がまた次の行動を促す(あるいは促さない)。
前回お話しした、人が行動を繰り返す仕組みを表した「ABCモデル」。
行動科学マネジメント®では、行動の結果(C)をコントロールすることによって、相手の行動を変容させるというアプローチを取ります。
言ってみれば、相手に適切な「ごほうび」を与えることによって、そのごほうびを獲得するために行動を繰り返させる、ということです。
繰り返された行動はやがて定着し、「習慣」となります。
こうして職場に「(成果に結びつく)望ましい習慣」を根付かせることが、行動科学マネジメント®のひとつのゴールなのです。
極端な言い方をすれば、職場におけるマネジャーの仕事とはマネジメント対象者の行動を「望ましい行動」へと変え、定着させること。
もちろんそのことによって、組織として生み出す成果は大きく変わります。
「相手のやる気を導く」
「モチベーションを高くする」
そうした内面へのアプローチだけでは、「成果を出す」ことには結びつかない場合も多いのです。
■「報告がない」。その理由とは?
では、「行動の結果」を「ごほうび」とする、つまり動機付けとなるようにするにはどのようなことに着目すべきでしょう?
たとえば実際にこんな例があります……。
安全管理マネジメントにおいて非常に重要なファクターに「ヒヤリハット」というものがあります。
簡単に言ってしまえば、職場におけるひとつの重大事故の裏にはそこに結びつくこととなる「ヒヤリとした」「ハッとした」出来事がいくつもある、ということ。
(詳しくは拙著『無くならないミスの無くし方[決定版]』をご参照ください)
したがって、重大事故を未然に防ぐためには「ヒヤリハット」の芽を摘んでおくことが大切なわけです。
そこで多くのマネジャーがこう号令をかけます。
「どんな些細なことでもいい。ヒヤリ・ハットがあったらすぐに上司に報告するように」
しかし、職場のメンバーからはなかなかヒヤリ・ハットの報告がない、というのです。
「日ごろから『報告をするように』とうるさく言っているんですが、どうして皆、行動しないんでしょうね……?」
「〝今の若い人〟は発言するという積極性がないんですかね?」
そんなマネジャーの声もよく聞きます。
しかし職場で実際に起きているのは、非常に単純な「動機付けのミス」なことが多いものです。
■行動に対しての「メリット」を与えているか?
「(ヒヤリハットを)報告する」
この部下の行動に対して、「メリットのある結果」がないのです。
「ミスを報告する」
それは望ましい行動であり、結果にはメリットが与えられるべきでしょう。簡単にいえば、マネジャーからの「称賛」です。
ところが、多くのマネジャーがまず行ってしまうのは、「ミスをしたこと」に対する「叱責」です。
これは、行動の結果にデメリットがあることになり、報告はまるで「自首」のようなもの。行動が定着、習慣化することはありません。
もちろん、何でもかんでも称賛、つまり褒めればいいというわけではありません。
動機付けを重視する行動科学マネジメント®においてマネジメント上の「褒め方」はとても大事なスキルなのであらためて詳しくお話ししたいと思いますが、ここでそのポイントを挙げておけば、それは「(相手の)行動そのものを褒める」ということです。
ここを勘違いして、「褒めることで相手と親しくなる」などと目論んでしまう人も、実は多いのです。
マネジャーの立場であるあなたは部下の望ましい行動に対して、メリットある結果を与えているでしょうか?デメリットを与えてはいないでしょうか?
あなたの「言動」が相手にどんな結果となっているのか?
「報告したら怒られる」
「相談したら助かった」
どちらの経験が多いでしょうか。
振り返ってみることも大切です。






