fbpx

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会様

フランチャイズシステムの健全な発展を図ることを目的に1972年に設立された一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会は、2013年6月、会員・一般向けにウィルPMのセミナーを開催しました。協会の教育研修委員としてセミナーを受講した古川氏に、その経緯や内容、評価について詳しく伺いました。

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会について

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会について教えてください。

当協会は、1972年に、当時の通商産業省の認可を受けて設立されました。フランチャイズビジネスを運営する日本の代表的なフランチャイザーとフランチャイズビジネスに関心を持ち、協会の趣旨に賛同する企業によって構成されています。主な活動は、フランチャイズシステムに関する教育研修や調査研究、規範制定、広報、相談などです。

なぜウィルPMのセミナーを受講したのか

今回のセミナーを受講した経緯と内容について教えてください。

私は当協会の教育研修委員であり、フランチャイズビジネスをしている企業の教育部門で働く社員でもあります。常日頃から情報収集をしており、ウィルPMには以前から興味を持っていましたので、協会主催(SV学校)でセミナーを開催する運びとなり、受講しました。

※SV学校・・・ SV(スーパーバイザー)学校は、1977年に開講し、SVとして必要な知識を講義、グループワーク、店舗診断実習等で学んで頂きます。卒業生は約1,800名で、フランチャイズビジネスの中心として活躍しています。また、1995年からは、スーパーバイザー士の認定制度を導入し、当協会の資格認定者は800名を超えました。

セミナーの内容は次の通りです。

項目内容
実施時期2013年6月14日(金)
受講者数60名
研修形態集合研修

項目内容
『できない』→『できる』になるたった2つの方法
(やり方がわからない、継続の仕方がわからない)
└ワーク:「ペットボトルの水をコップに注ぐ」行動を分解してみよう
└達成感を感じるようなしかけ(系統的脱感作)
・素質や能力ではなく、コツの理解と継続力が大切であるという考え方
MORSの原則・行動と行動でないものを見極める
・具体化の方法
行動分解ワークショップ 
3つの理論の解説
「ディスクレーショナリーエフォート」「リインフォース」「ABCモデル」
・継続化のための理論
トータルリワード・非金銭的報酬の活用方法
エンディング 

セミナーへの3つの評価

セミナーへの評価を教えて下さい。

実際に効果があることはもちろん、商品の均質化やアルバイトの即戦力化に有効であることを評価しています。

それぞれ詳しく教えてください。

まず、実際に効果があることについて説明します。

セミナーの中で、「上位2割のハイパフォーマーが共通して取っている結果につながる行動を、6割の方々にしてもらうことで、全体の底上げを図る」ための手法と仕組みについての説明がありました。私が以前、スーパーバイザーとしてフランチャイジーを指導していた際、業績が改善したケースで行っていたことと、その手法の一部が同じだったため、納得感を持って聞くことができました。

次に、サービスの均質化について教えてください。

フランチャイザーは、フランチャイジーに対して、スーパーバイザーによる指導を行っています。同じ対価を支払っていただいている以上、指導の質は同じでなければいけません。しかし、実際には難しいのです。なぜなら、指導内容が抽象的だからです。例えば、「お客様を笑顔で迎える」という指導内容があった場合、「いつ、どのような笑顔をすればよいのか」は分からないため、10店舗あれば10通りの「笑顔で迎える」という行動を取ってしまいます。

行動科学の「行動を分解する」という考え方と手法を取り入れると、「お客様を笑顔で迎える」という抽象的な指導は、「どのタイミングで、何%の笑顔をする」と、具体的な指導になります。これなら、どの店舗でも同じように「お客様を笑顔で迎える」ことができるようになります。

それでは、アルバイトの即戦力化について教えてください。

フランチャイズの店舗運営は、アルバイトの方々がいないと成り立ちません。彼らは社会人経験が少ないため、接客をはじめとした様々な教育を受ける必要があるのですが、フランチャイジーは企業規模が小さく、大企業のように教育に多額の投資をすることができません。また、スーパーバイザーからの指導を受けられるのは、多くの場合、店長だけです。このような環境下で、アルバイトの方々に短期間でプロとして仕事をしてもらうには、彼らを即戦力化するための具体的な手法と仕組みが必要です。

行動科学には、どのような手法があるのでしょうか。

例えば、チェックリストというツールがあります。これはマニュアルとは違い、「科学的で客観的で、誰が見ても理解できる共通言語で行動が示されていること」や「該当する行動をした場合にチェックできるボックスがあること」などの特徴があります。チェックリストに示されている行動とは、「2時間に1回、薬剤を2回散布して、雑巾を4つに畳んで拭く」といったものです。これぐらい具体的であれば、アルバイト全員が何をすべきかを理解でき、同じ行動を取ることができます。また、「綺麗かどうか」といった生産性のない議論が発生する余地もありません。

他のマネジメント会社のセミナーとの違い

ウィルPM社が他のマネジメント研修を行う企業と違う点を教えてください。

スーパーバイザーが、フランチャイジーを指導するには、「具体的な手法」と「その手法を継続していくための仕組み」の2つが必要です。どれだけ素晴らしい手法であっても、継続できないものは導入できません。ウィルPMのセミナーには、この2つが揃っているという点が違いました。

まず、具体的な手法について教えてください。

具体的な手法とは、ハイパフォーマーの結果に直結する行動を分解することと、分解した行動を、誰にでもできるようにMORSの法則(※)に落とし込むことです。

セミナーの中で、「ペットボトルを知らない人に、水を飲んでもらうために指示をする」という、行動の分解について理解するワークがありました。私は、「ペットボトルを開け、コップに水を注ぐ」と分解しましたが、セミナーでは、「ペットボトルを知らない人に対しては、まずペットボトルを見て、次にペットボトルに手を掛けてキャップを回す、というように、より具体的に行動を分解する必要がある」と説明を受けました。

私はここで、「なるほど」と思いました。というのは、ペットボトルの水を飲む際、私が「ペットボトルを見る」という行動を無意識にしていたように、ハイパフォーマーは、結果に繋がる行動を無意識にしている場合があります。その無意識の行動に着目し、分解し、MORSの法則に落とし込み、それをもとに指導することができれば、結果への影響は大きいからです。

※MORSの法則・・・ 行動科学マネジメントにおける「行動」の定義の仕方。行動とは、「M (Measured):計測できること」、「O (Obserable):観察できること」、「R (Reliable):信頼できること」、「S (Specific):明確化されていること」の4つの条件を備えている必要がある。この頭文字を取って「MORSの法則」と呼んでいる。

継続していくための仕組みが、なぜ必要なのかを教えてください。

一般の会社組織であれば、常に上司が部下の側にいます。もし部下が仕事をしていなければ、上司は注意をし、仕事をさせることができますよね。しかし、スーパーバイザーがフランチャイジーに訪問するのは、1週間、あるいは1ヶ月に1度といったペースです。また、フランチャイズ本部と加盟店様の関係は、横並びですので、上意下達ができません。ですから、フランチャイザーは、フランチャイジーが自ら行動を取り、成果を出し続けていく状態にする仕組みを持つ必要があるのです。

行動科学には、トータルリワードという考え方があります。これは「人が行動を継続していくには、金銭的な報酬だけでなく、それ以外の褒めたり、認めたりといった非金銭的報酬も与えて、動機付けをする必要がある」というものです。私はこの考え方に納得しています。過去の業績が改善したケースを思い返すと、私は、頻繁に店長を褒めたり、認めたりしていたからです。

人は褒められたり、認められたりすると行動を継続するのですか。

ただ単に、「頑張ってますよね。すごいじゃないですか。」と言われても、何がすごいのか分かりませんので、褒められても嬉しくありませんよね。これでは動機付けにならないので、継続しません。そうではなくて、チェックリストに記載されている具体的な行動ができていることを褒めるのです。自分が褒められた理由が明確だと、人は嬉しくなります。これが動機付けとなり、「この行動はいいことなのだ」と認識し、行動を継続するようになるのです。

どんなフランチャイザーに適しているか

このセミナーは、どのような課題を抱えているフランチャイザーに適していますか?

「2-6-2の法則」の6割に対する教育に壁を感じているフランチャイザーです。「2-6-2の法則」とは、「会社などの組織は、上位の2割が成果に貢献している生産的で優秀なグループ、中位の6割が平均的なグループ、下位の2割が成果に貢献していないグループに別れる」という法則です。

このうちの6割に対して、パフォーマンスを引き上げるための働きかけをすると、結果が大きく変わります。そのため、多くのフランチャイザーが、この6割に対する指導に力を入れています。

御社ではどのようなことをされていますか?

例えば、成績上位のフランチャイジーの店長に、どのような考えでどのような行動をしているのかについてインタビューし、その内容を共有する場を設けたり、現場の様子を撮影し、編集した映像を観てロールプレイングをしたりしています。

しかし、真似できる人とそうでない人が出てきます。理由は、「何が良いのか」という議論をしても、「何となく感じが良い」、「動きがスムーズだ」といったように抽象的な表現になり、具体的に伝えることができないからです。当社ではどうしてもこの先に進むことができず、壁を感じていました。セミナーを受け、行動科学の考え方と手法であればこの壁を突破できるのではないか、と思いました。

セミナー受講を迷っている企業様へ

ウィルPMのセミナーへ参加を迷われている企業様に、何かメッセージをお願いします。

目指すゴールが同じでも、ゴールへたどり着くアプローチの仕方は様々です。そのため、新しい研修を導入する際は、慎重に検討する必要があります。例えば、一方の研修では褒めることを重視しているが、もう一方の研修では叱ることを重視しているといった場合、受講者が混乱してしまいます。

しかし、ウィルPMの研修は、他の研修との親和性が非常に高く、どのような研修とも対立しません。それに、他の研修内容を自社に落とし込むために役立ちます。ですから、今までのアプローチ方法に、もし限界を感じているなら、安心して取り入れてください。

古川様、本日は、お忙しい中ありがとうございました。