こんにちは。石田淳です。
前回紹介したアメリカの安全対策に関するビジネスフィロソフィー「HOP」(Human and Organizational Performance)のアプローチでは、ミスや事故の発生やヒヤリハットの過少報告を防ぐために、「管理者とメンバーの関係性」を重視しています。
また、ミスや事故を防ぐための施策を「メンバーの視点や意見」を元に決定していく、というのも、大きな特徴といえるでしょう。
「人間がやることに完璧はない」
この視点にたち、メンバー一人ひとりの心理的安全性を高めることで現場だからこそ気づくことのできるミスや事故につながる箇所を見える化しやすい組織風土をつくり、対策を打つというアプローチです。
一方で、現場や職場の環境やシステム、作業のオペレーションに関して、それが安全か、正しいかを判断するのは現場のメンバーだけではない事にも、注意すべきでしょう。
その点、行動科学に基づいた、「BBS」(Behavior Based Safety=「組織行動セーフティマネジメント)
のプログラムでは、現場のメンバーだけでなく、「管理者の行動」にも焦点が当てられます。
管理者側がメンバーの働くシステムを構築し、維持することによって、メンバーの行動(安全や無事故をサポートするシステムの維持)をコントロールしていくわけです。
HOPの考え方には、事故やミスを防ぐために「人」に対する理解を深める要素が多くあります。ヒューマンエラーは避けられないものとして受け入れ、そのエラーを最小化するためのシステムに目を向けるという考えは非常に良いものです。
また、職場の安全性を高めるためには経営者、管理者、メンバーといったすべての人の行動を変える必要もあります。
BBSとHOP。ともに「職場に安全文化をつくる」という同じゴールを目指しています。
どちらか片方だけではなく、事故やミスを無くすためにあらゆる視点から職場や現場の環境と人に目を向け
一人ひとりの行動を変えること。いずれにせよやはり着目すべきは、「人」そのものなのです。