こんにちは、石田淳です。
「『自ら行動する』=行動自発率の差が、できる人、できない人の差」
前回はそんなお話をしました。
そして、自ら行動することを相手に促す、つまりマネジメントにおいて相手に対して(望ましい)行動を発生させ
さらにその行動を継続させるためには、相手の「価値観」が大きく関わる、ということも。
簡単に言ってしまえば、上司は相手(部下)が「行動の果てにどんな結果が欲しいのか」を理解しておかなければならない、ということです。
「何のために仕事をするのか?」
それは突き詰めればそんな問題になるわけですが、もちろんこれも精神論ではありません。言い換えれば「何が欲しくて仕事をするのか?」ということ。「報酬」の話なのです。
「仕事における『報酬』は賃金に決まっているだろう」
そう考える人は多いことかと思いますが、行動科学マネジメントには「トータル・リワード」という考え方があり、人が報酬と感じるものには、さまざまなカタチがあるのです。
これがすなわち相手の「価値観」であり、それは十人十色だ、ということです。
たとえばある人は「より多くの金銭」を欲して仕事をする。またある人は「成長の機会」を欲して仕事をする。またある人は「社会的な安定」を欲して仕事をする…。
価値観が多様化した今は、部下が仕事の結果として何を欲しているのかを日々のコミュニケーションの中から見つけ、上司が把握しておくことが大切です。
「もっと頑張れば、給料がアップするよ」
「もっと頑張れば、出世するよ」
誰もが給料アップのために仕事をする。
誰もが出世のために仕事をする。
ビジネスパーソンならば〝普通は〟出世したいのが〝当たり前〟。
そんな単純な考えはもはや通用しません。
さらに言えば、これは「採用」の際にも極めて大切なファクターです。
「とにかく人手が足りないから、採用」。しかし、相手は「自分の欲しいものが与えられない」ということから、すぐに退職。そんなケースも今はよくあります。
「相手の価値観を探り、把握する」
これからの上司には、かつては重視しなかったそんな作業が必要とされるのです。
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■石田淳 著作紹介75
「お金ではない『報酬』」「部下は何をもって『報われた』と感じるのか」そうした問題をアメリカ発の「トータル・リワード」の考え方に基づき考察した一冊です。