こんにちは、石田淳です。
「やるべきことは分かっているのに、やろうとしない」
「技術(スキル)は習得済なのになかなか成果を上げることができない」
そんな部下を前にして多くの上司が試みるのが、相手のモチベーションをアップさせる、ということでしょう。
「明確に目標設定をすればその目標を目指すようになる」
「自らの問題点に自ら気づくことができれば、自ら解決策を模索するようになる」
そのように信じて、部下を〝導いて〟あげようとします。
「自分が到達したいのはどんな自分か?」
「その目標を達成した際にはどんな気分だろうか?」
そのような質問を繰り返し、要は相手の「気持ち」「意識」といったものを変えようとする。
そのために多くの人が思いつく手段は、いわゆる「コーチング」の手法でしょう。
近年、ビジネスの現場でもこうしたコーチングの取り組みが増えています。
ただ、部下にコーチングを試みたからといってそれが即、「部下が成果を上げてくれる」ことに結びつくかといえば、そうとは限りません。
もちろん私はコーチングを全否定するつもりはありませんし、目標設定をすること自体が間違いであるとも思っていません。
ただ、多くのビジネス現場でコーチングを行う側、受ける側に大きなズレが見られるのです。
「『自分がどうなりたいのか』が重要」と思う側と、「自分は今、『どうすればいいのか』を求める側の相違、とも言えるでしょう。
次回、この問題をさらに詳しく見ていきたいと思います。
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■石田淳 著作紹介54
『短期間で組織が変わる行動科学マネジメント』
ダイヤモンド社 2007年刊
「(部下の)自発的な行動が増え、しかも持続性を確実に向上させる」相手の行動に焦点を当てることでそれを可能にする行動科学マネジメント理論の教科書的一冊。「気持ち」や「精神論」に頼らない、仕組みによる目標達成=成果向上のメカニズムがよくわかります。