こんにちは。石田淳です。
前回に引き続き、行動におフォーカスしたマネジメント手法の基本となる概念「スモールステップ」について
お話しします。
「泳げるようにしたいから、いきなり海に突き落とす」
「車の運転を覚えさせたいから、まずはとにかく道に出させる」
「緊張せずに話せるように、まず大勢の前でスピーチさせる」
…極端なたとえかもしれませんが、こうした部下育成は、未だに多くの組織に存在しています。
何事も経験が大事。
場数を踏むことで慣れていく。
そうした考えから行われる「当たって砕けろ」式の育成法がうまくいかないことは少し想像を働かせれば誰にでもわかることです。
いきなり海に突き落とされる。何の知識もなく車の運転をさせられる。大勢の視線を浴びる。
下手をすればその恐怖から一生のトラウマになるような経験を〝マネジメント〟〝教育法〟と称して実践する人が
まだいるのです。
「困難を克服したことがその人間にとって大きな自信になる」
「だから部下には最初からあえて高いハードルを課すようにしている」
…厳しい言い方になるかもしれませんが、私はこうした考えを持つ上司は部下育成に向いているとはとても思えません。
高い再現性を誇る行動科学マネジメントにおいてはその考え方は〝間違い〟です。
そもそも人間は、困難を克服しなければ何かを得ることができないのでしょうか?
「いきなり高いハードルを課す」上司は、ここを大きく誤解しているように感じます。
「スモールステップ」とは、その名のとおり「小さな一歩」を積み重ねていき、最終的に大きな目標を達成させるやり方です。
その過程において、当事者にとって自信は生まれないのか?
もちろんそんなことはありません。
次回はスモールステップのメカニズム、すなわちスモールステップによって人間にどんな変化が起こるのかについて
お話ししたいと思います。