こんにちは。石田淳です。
突然ですが、上司が部下を「叱る」目的とは、何でしょうか?
それは「部下の望ましくない行動をやめさせるため」です。
部下が、見過ごせば成果に結びつかず、それどころか大きなミスや事故にもつながってしまう行動を指摘する。
これが行動科学マネジメントにおける「叱る」ということです。
相手の間違った行動を指摘する。
減らすべき行動(過剰行動)を減らしていないことに対し、叱る。
増やすべき行動(不足行動)を増やしていないことに対し、叱る。
しかし多くの職場では、「行動の指摘」から逸脱した叱責がよく見られます。
「仕事への意識が足りない」
「もっとやる気を出せ」
「考え方が甘い」
「だらしないじゃないか」
など、相手の精神面や人格、性格を否定してしまうのです。
そこには具体的な行動の指摘はありません。
曖昧な言葉で、反省を促すだけ。
これでは、叱責がパワハラと捉えられてしまうのも無理はないでしょう。
部下にとっては、上司から自分の人格=自分の行動ではなく〝自分自身〟を否定するような言葉を投げかけられるのは、心理的な罰を与えられてるのと同じです。
すると部下はどうなるか?
「どうせ何をやっても自分自身を否定されているのだからやるだけ無駄」
と、仕事に対する意欲を失っていきます。
いわゆる「学習された絶望感」というやつです。
もちろん「上司は部下を叱らず、ほめて伸ばせばいい」というわけではありません。
前述のように、減らすべき行動を減らし、増やすべき行動を増やすためには「叱る」という手段を用いなければならない場合も。
しかしここで感情に影響されてしまう上司は、ついつい相手の内面に踏み込んでしまうのです。
相手に精神的なダメージを与えずに行動のみを指摘する…。
叱ることは、ほめることよりもずっと難しいことなのです。
だからこそ、極端にいえば「叱らなくてもいい」マネジメントの仕組みが求められます。
そう、部下が自ら、減らすべき行動を減らし、増やすべき行動を増やすという仕組みです。
行動にフォーカスしたマネジメントが目指すのは、この仕組みのある組織風土の構築なのです。