「AIの台頭によって、さまざま職業が存続の危機」
「キャッシュレス化がさらに普及すれば、無駄な業務がなくなる」
今、そんなことがよくいわれています。
AIやキャッシュレス化がもっと一般的なものになれば、たとえば煩雑な「記帳作業」などは極めて簡単なものとなります。
すると、税金の申告・記帳代行を行う税理士の仕事も激減する、というわけです。
事務作業を主とする職業はこのように概ね「危機」にさらされるでしょう。
テクノロジーの発達は日進月歩、1年前には考えられなかったことが、すぐに「当たり前」の状況になったりするものです。
ですから、AIやキャッシュレス化の普及も、今考えているよりもずっと早いスピードで進んでいくのでしょう。
年末の海外視察では、「キャッシュレス化の現在」を目の当たりにしました。
アメリカのニューアーク国際空港を利用したときのことです……。
搭乗までの時間をつぶすため、空港内のカフェに入ったのですが、そこには、注文を取りにくる店員の姿はなく、それどころかレジもありません。
カウンターの各席には、タブレットとカードリーダーが備え付けられていて、注文から支払いまで、すべて席で完結するのです。
タブレットで注文し、クレジットカードをリーダーに通して支払い。人の手を介することはまったくありません。
「少ないスタッフで済む」
「注文も支払いもスピーディー」
店側にとってもお客側にとっても、いいことだけなのです。
タブレットで注文を取る飲食店は日本でも最近増えています。
人のぬくもりが感じられないだとか、注文の融通が利かないといった
批判はあるかもしれませんが、「便利さ」「生産性の高さ」がある以上、このシステムが推進「されない」ことはないでしょう。
PC、インターネットや携帯電話がそうだったように、です。
得られる結果が同じであれば、便利でスピーディーなやり方を選ぶのは仕方がないことです。
わざわざ辞書を引くよりもスマホで検索した方が早い…。
この事実に異存はないはずです。
これからの企業が「生産性」をテーマに据えなければならないのであれば、テクノロジーの発達、「便利なシステム」から目を離すことはできません。
マネジメントのあり方にしても、今後は大きく変わっていくでしょう。
「人間の労働力」に依っていた業務が、どんどん減っていくのですから。
ただし……。
大切なことは、これらの「便利なテクノロジー」を利用するのは、
あくまでも「人間」であるということです。
システムを開発する際も、「人間」が「人間」の行動を考えて開発しなければ、
つまり「使い勝手が良いように」システムを構築しなければ、
何の意味もありません。
「使い勝手」とはすなわち「行動のしやすさ」ともいえるでしょう。
「人間の行動原理」「行動の導線」
に沿った考えができてはじめて、テクノロジーは生産性の強力な武器となるのです。