「もっとやる気を出せ」
「もっと強い意志を持て」
ビジネスマネジメントにおいて
このような言葉を部下にかけるのは
絶対にNG。
…このメールマガジンでも
何度かお話ししていることですよね。
「やる気を出す」
「強い意志を持つ」
は「行動」とは呼べず、何の具体性もありません。
上司、マネジャーは部下に対して
行動のレパートリーを示さなければならないのです。
さらに危険なのは、
上司が部下の問題の本質を
こうした「具体性のない」ものにあると決めてしまうと、
結局は何の問題解決にもならず、
「堂々巡り」を招くということです。
たとえば……。
部下が決められた作業を継続できない
↓
「意志が弱いからだめなんだ」
↓
では、なんで意志が弱いと思うか?
↓
だって、決められた作業を継続できなのだから
↓
……あれ?
そう、勝手に「意志が弱い」ことを問題の本質にしても、
解決策は見いだせません。
つまり、
「決められたことを継続できない」
ということを
「意志が弱い」と言い換えているだけ、
行動を別の言い方で表現しているだけです。
これでは堂々巡りもやむなし、でしょう。
物事をこのように同じ意味の言葉で言い換え
表現することを、
「トートロジー」(同義反復、同語反復)といいます。
「金持ち富裕層」
「やる気に満ちたモチベーション」
「実際にあったノンフィクション」
なんて言葉も、トートロジーの一例ですし、
「あのアルバイト、時給だよね」
「いや、時給なのがアルバイトだから…」
こんな会話もまさにトートロジーです。
行動科学では、マネジメントの現場においては
会話や説明にトートロジーを用いないようにと
気をつけています。
理由は前述の通り。
堂々巡りで、何の問題解決にもつながらないからです。
「彼が作業を継続できないのは、意志が弱いからだろう」
↓
「なぜ意志が弱いかって?
だって作業を継続できないのだから」
「彼女が周りとなじめないのは、彼女の意固地だからだな」
↓
「なぜ意固地かって?
だって見てごらん、周りとなじめていないんだから」
「君が会社のルールを守らないのは、その反抗的な性格のせいだ」
↓
「反抗的だろう! 会社のルールを守らないということは!」
「あなたは失敗ばかりするね」
↓
「失敗しないように、もっとがんばってくれよ!」
…これではまったく意味のない「個人攻撃」です。
「できない理由」を相手の「内面」のせいにしてしまうと、
おのずとトートロジーの罠に陥ってしまいます。
そして、それはマネジメント的には、
「何の解決も見いだせない」無駄なことだと知るべきです。
こんなにも生産性が求められている今、
無駄なことをしているヒマなどないはずですよね?
フォーカスすべきは、
具体性のない内面などではなく、行動。
目に見え、数値で表せて、計測もできるものです。
具体性のある行動だからこそ、
行動を増やす、行動を減らず、
あるいは行動を変えるといった施策ができるのです。
リーダー、マネジャーが部下の問題を解決しようとする際には、
このことを忘れてはなりません。
あなたの言葉は
トートロジーになってはいませんか?