行動を分解して、具体的な指示を出すことは、
人に「やり方」を教える際の基本です。
そして、具体的な指示は
「相手が分かる言葉」で伝えなければならない。
前回のメルマガでは、このようなお話をしました。
しかし実際のビジネス現場では、
この「具体的な指示」ができていないため、
さまざまなトラブル、齟齬が発生しています。
たとえば新入社員に「電話の受け方」を教える際…。
マネジャーは新入社員に、
「受話器を取ったらまずは
『お電話ありがとうございます。○○○の××です』
と名乗り…」
と、受話器を取るところから丁寧に指導したつもりでした。
しかし、新入社員はキョトンとしているだけ。
電話が鳴っても、受話器を取ろうとしません。
「なぜすぐに受話器を取らないんだ!」
とマネジャーが叱責すると、新入社員はこう言ったそうです。
「あの、『受話器』って、何のことですか?」
…笑い話のように聞こえるかもしれませんが、
これは本当にあった事例。作り話でも何でもありません。
「今の若い人には『受話器』の存在から教えないと
いけないんですか…」
マネジャーはそう嘆いていましたが、
正解はその通り。
残念ながら「どれが『受話器』なのか」から教えるのが、
携帯電話しか使ったことのない今の若い人たちに対して
「行動を分解して伝える」ということなのです。
たとえばまったくPCに触れたことのない人に対して、
「まず電源を入れて」
と指示しても、そもそもどこに電源のスイッチがあるかわからない。
要はそういうことなのです。
「それくらいは常識だろう」
「知っていて当然のことだろう」
そう思う気持ちを抑えて、相手が「何も知らない」と考えること。
「イチから教える」とは、そういうことであり、
それが「具体化」ということなのです。