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株式会社総合オリコミ社様

折り込みチラシをメインとした、さまざまなアウトストアプロモーションから、カタログ・各種POP・売場ツールなどのインストアプロモーションまで、トータルでの提案を行っていらっしゃる株式会社総合オリコミ社様は、ウィルPMの制作部育成プログラムを導入しました。代表取締役の中島氏に、プログラム導入の背景と経緯、プログラムへの評価、導入後の変化などについて詳しく伺いました。

可視化とチェックの仕組みで、何をどう教えればいいか分かる

ウィルPMのプログラムを導入した経緯

東京支店の支店長が、あるビジネスセミナーのチラシに掲載されていた石田淳さんの講演案内を目にとめ、参加したのがきっかけです。

「非常に理に適った講演だったので、次の3回セミナーに参加したい」「社内でこの仕組みを広げたいので、他のメンバーも講演に参加させたい」「石田先生に当社に来てもらって講演をしてもらいたい」といった感じで、徐々に広がりを見せていきました。2016年4月に石田さんが広島本社で講演をしてくださり、私も講演を聞きました。たしかに素晴らしい内容だったので、2016年の6月にプログラムの導入を決めました。

特に印象に残ったのは、「可視化できる」「チェックできる」といった点でしたね。それまでは、教える側が教わる側に対して「こう動いてくれたらいいのに」と思いながらもうまく言葉にできないモヤモヤを抱えている状態でした。その部分が、行動科学によってクリアになるのではないかと感じました。

ベテランと若手の間に生じている能力ギャップをなくしたい

導入前に抱えていた課題

当社は1975年の創業ですから、さまざまな年齢層の社員が在籍しています。そのため、スキルのあるベテラン社員と若い社員との差が当然ながら生じてきます。スキルの高い社員は、忙しい時にどう動けば良いのか自分自身でわかっている。けれども、そのノウハウを言葉にして具体的に教えることまではできませんでした。これは、制作と営業の共通の課題でしたね。

ですから、スキルの高いメンバーのスキルを、若いメンバーに具体的かつ明確に伝えられたら、若手社員たちのパフォーマンスが上がるのではないかと感じていました。

また、当社のメインクライアントは、ホームセンター、ドラッグストア、スーパーマーケットなどの小売業です。こういった店舗様はゴールデンウイークや年末年始休みなどに大きな売上をあげますが、チラシは「鮮度が命」なので、何ヵ月も前に制作するわけにはいきません。そのため、長期休暇の直前1ヵ月ほどに我々の仕事のピークがやってきます。

デザインチームは、マネージャーを中心に5~6名のチームを組んで進行しているわけですが、属人化、つまり「1つの案件を最初から最後まで1人で行う」というやり方だと、生産性があがらずに対応できません。みんなでやれるところはみんなでやり、デザイナーとして本来時間をかけたいクリエイティブな作業に時間をかけるために最適な方法を探していました。

つまずく行動を特定し、いつ、何を、どう教えたらいいか共有

どのようなプログラムを導入されたのか?

まず導入したのは、制作部の若手を育成するプログラムです。現在、8人ほどのデザインチームのマネージャーを対象に、月に1回ほど広島本社で、ウィルPMのコンサルタントの方がワークショップを開催してくれています。

ワークショップでは、制作の流れの体系化を行っています。ステップで言うと、「若手がつまずく行動」を特定し、「教える内容」を具体化し、教えるという行動を習慣化するための「教え方”の標準化」に取り組んでもらいました。

ウィルPMのコンサルタントさんは、当社の現場の事情を踏まえながら毎回メニューを組んでくれますし、さまざまな相談にも乗ってくれているので、非常に助かっています。

導入前より生産性向上、残業時間も短縮

導入後に見られた変化

マネージャーの人間たちが、ワークショップを通じて「こういう工夫は必要だね」「教え方次第でしっかり伝えることが出来るんだね」とすぐに理解してくれたのが非常に大きかったですね。第1ステップは今後の仕組み作りの土台になる部分なので非常に重要なのですが、全員でたしかな手応えをつかんだ状態です。

現時点で導入前より生産性は向上し、残業時間も短縮しています。数字的にもいい結果が現れてきています。社内でさまざまな取り組みを行っていますので、必ずしも行動科学のプログラムだけの成果とは言えませんが、確実に貢献してくれていると思います。

創造性を発揮できる職場にするために、標準化を進めたい

今後の構想について

個人での偏差をなくし、全体の総労働時間をいかに下げるかを考えていきたいですね。そのためには、業務の標準化が必要です。「差をなくす」「標準化する」というところは、行動科学と相性が良いのかなと感じています。

と同時に、「単に労働時間を短くする」ということだけを目指してさまざまな取り組みをしているわけではないということも強調しておきたいですね。

私たちの会社は、制作しかり、営業しかり、「クリエイティブなもの作りがしたい」あるいは「クリエイティブな提案がしたい」という思いのある人材が集まっている会社です。制作であれば、デザインの質を高める部分に時間をしっかり使ってもらえるような会社にしたい。単純に「時間さえ短ければいい」ということだと、仕事は面白くないと思うんです。

もちろん、他の業界・業種と同じように、ルーティーンの作業は当然あります。そこをチーム力でスムーズに乗り切って、個々の能力を最大限発揮できる職場にしたいですね。

今までは、教える側が「なんでそれが出来ないの?」とざっくりした指導になってしまい、教えられる側は、「いや、こういうことがあって……」といろんな理由があいまって要求に達していないのですが、1つ1つをクリアにしてコミュニケーションをとることでまだまだ進化できる。細部を進化させることで、全体を大きく進化させたいと思っています。

新しい時代を生き抜く、さまざまな取り組み

最後にメッセージをお願いします

少子高齢化の中で新聞購読者の数が減り、チラシの数も減っていきます。全体のパイが縮小して、優勝劣敗が進み、淘汰される確率は高くなります。ただ、それでも一定のパイは必ず存在するわけですから、「長年培った自分たちのスキルに自信を持ってNO.1を目指し生き抜こう」ということは常に呼びかけていますね。

また、そもそも新聞を読まない人も増えてきていますから、消費者にリーチする方法も考えています。最近ではSNSサービス「LINE@(ラインアット)」の代理店となってSNSから消費者に送信する広告を手がけたり、ウェブ上のディスプレイ広告を手掛けたり……と、新聞に折り込む以外の媒体の制作も行っています。

今までの歴史にあぐらをかくことはできません。と同時に、今までの自分たちの強みを捨てることもしません。紙媒体で長年培ったノウハウを、新しい媒体でも活かせると考えています。

また、来たるべき人工知能(AI)化の波に対しても、自社でプログラム開発に取り組むなど積極的に取り組んでいきます。「チラシ制作」という枠で考えるのではなく、「コミュニケーションのプロ」という位置付けで、自分たちの存在を捉えていきたいですね。そんな新しい時代を生き抜く上で、行動科学は重要なメソッドだと感じています。

中島様、本日は、お忙しい中ありがとうございました。

取材協力:有限会社ジェット