こんにちは。石田淳です。
「スローガンを排除し、具体的な言葉での指示を徹底する」
これは安全管理のマネジメントに限らず、行動科学マネジメントに共通する「掟」のようなものです。
それはセルフマネジメントも同様で、たとえば「もう少しがんばってみる」だとか「とくに集中して取り組む」といった曖昧な言葉、やる気や意志次第の言葉は、自分自身に対しても使わないように心掛けるべきでしょう。
「もう少しがんばる」
「とくに集中する」
とは、どんな行動をあと何回(あるいはどのくらいの時間)繰り返すことなのか?
このように繰り返すべき行動(ターゲット行動)を明確にして、具体的に数値化、見える化することが行動にフォーカスしたマネジメントの肝といえるでしょう。
では、「具体的」とはどういうことか?
行動科学マネジメントには「MORSの法則(具体性の法則)」という、4つの要素から成り立つ「行動と呼べるものの定義」があります。
・Measured(計測できる)
=どのくらいやっているかを数えられる(数値化できる)
・Observable(観察できる)
=誰が見ても、どんな行動かがわかる
・Reliable(信頼できる)
=誰が見ても、同じ行動だとわかる
・Specific(明確化されている)
=誰が見ても、何を、どうしているかが明確である
それぞれの頭文字を取って、MORSです。
これら4つの要素がそろって、初めて「行動」といえるものになります。
逆にいえば、この4つの条件を満たしていないものは「行動」ではないということ。
「どれくらいやっているかを数えられる(数値化できる)」
「誰が見ても、どんな行動かがわかる」
「誰が見ても、同じ行動だということがわかる」
「誰が見ても、何をどうしているかが明確である」
……ということでなければ、行動とは呼べません。
「もっと指示に具体性を」
そう考える際には、この具体性の法則を思い起こしてみてください。
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■石田淳 著作紹介14
『短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント』 ダイヤモンド社 2007年刊
2007年に刊行され、今なお「行動科学マネジメントの概念が網羅されている」と好評の一冊。行動にフォーカスしたマネジメントの特徴や、そこで使われる論理を詳細に紹介しています。