こんにちは。石田淳です。
「社員のやる気をアップさせたい」
「仕事へのモチベーションを高めたい」
という思いは、特に中小企業の社長にとって切実なもののようです。
行動科学的にも「自ら喜んで仕事に取り組む」=行動自発率が高い人材がハイパフォーマンスを挙げることは明白です。
そうした実利的な側面はもちろんのこと、小さな会社で、毎日顔を合わせる社員がやる気を持って、楽しく仕事に挑むことはリーダーにとってはとても嬉しいこと。
「みんながやる気を出して仕事をしてほしい」
という気持ちは、私もよくわかります。
では、社長が社員にやる気を出させるためにはどうしたらいいのか?
モチベーションをアップさせるためには?
「社員のやる気を引き出す言葉って、どんなものがありますかねえ?」
なんていう質問も、よくあります。
しかし、結論からいえばそのような誰にでも通用する万能な言葉はありません。
働く人、一人ひとりの価値観は人それぞれ。ある人には響くかもしれない言葉も違う人にはまったく響かない……なんてことも当然です。
また何より「(社員が)やる気を出したかどうか」を客観的に判断する基準はないわけです。
たとえばこんな話しを聞きました。
社長が、ある元気のない社員を終業後に飲みに誘いました。「この際だから腹を割ってじっくり話そうじゃないか」という目論見です。
そして酒の席で社長は、社員に「君には期待しているんだ」「もっとやる気を見せてほしい」などということを熱く語ったといいます。
相手の社員も社長の話に感銘した様子。
「ありがとうございます! 頑張ります!」「何だかやる気が出ました!」と言ってくれました。
しかし、それから1カ月も経たない間に、その社員は会社に辞表を出したというのです。
「やる気」「モチベーション」を客観的に計測する基準は、残念ながら存在しません。
したがって「社員にやる気を出させる」というアプローチのマネジメント自体が間違った方向なわけです。
「内面を変えることは難しい」
「そこにフォーカスするのではなく、行動を変える取り組みを」
この行動科学マネジメントの基本をぜひ覚えておいていただきたいと思います。