こんにちは、石田淳です。
「若い世代は、入社したと同時に『転職』のことも視野に入れている」
そうした風潮が今や当たり前=「常識」ともされているということは前回も触れたとおりです。
「若い世代の数が少ない」……。いわゆる売り手市場である現在のビジネス界においては「(新卒で入社した)会社にしがみつく」という意識を持つことは若い世代にとってはナンセンスとなっているようです。
「石の上にも三年」
私たちの世代ではそのようなことが美徳ともされ、辛抱やさまざまな経験の末に立派なビジネスのキャリアが手に入るとされてきました。
しかし現在では、若い世代にとって「自分に合わない会社に居続けるのは時間の無駄」「どんどん自分の可能性を試すべき」という考えが許される状況になっています。
「石の上にも三年」どころか、「三カ月で(その会社が合っているかどうかは)わかるだろう」ということさえ、言われているのです。
スマホに情報を入力するだけで自分に合った働き先が紹介される……。
行動科学的にいえば「行動のハードルが低い」。
しかも空前の売り手市場。
多くの若い世代が新しい働き先を探すことは、当然なことなのかもしれません。
「今の若いやつらは、すぐに辞めてしまう」
リーダー、マネジャー層は、そんなふうに嘆くのではなくそれを当たり前の前提として、その上でできることを模索しなければなりません。
そのために大きく関わってくるのは、言うまでもなく「マネジメント」の問題です。
10年ほど前に『辞めさせないマネジメント』というタイトルの著書を出させていただきましたが、こうした「人材の定着」に着目したマネジメントスキルは今後ますます重視されていくことでしょう。
「誰か辞めたのなら、替わりの人材を採ればいい」
「働き手はいくらでもいる」
その考えは、もう通用しないのです。
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■石田淳 著作紹介77
「辞めたいやつは辞めればいい」そんなことを口にする「アマチュアマネジャー」からの脱却を。「会社の未来を担う優秀な若手の不足」の問題にいち早く言及し、そのマネジメント面の解決策を示した一冊。