こんにちは。石田淳です。
「物事を『教える』ことが上手い人は、望ましい行動を具体的な言葉として伝えることに長けている」
前回のメルマガで、そうお話ししました。
では、「具体的な言葉」とはどのようなものでしょう。
「お客様には、もっと丁寧な言葉遣いで接して」
「急ぎの案件なので、できるだけ早めにお願い」
「この工程の作業には細心の注意を払ってほしい」
「ヒヤリ・ハットはすぐに報告するように」
「○○さんとはもう少しコミュニケーションを取ったほうがいい」
「(見込客への)接触回数を増やすべきじゃないか?」
ビジネスの現場で遣われがちなこうした言葉の数々が、どれも「具体的な言葉」とは呼べないということはもうおわかりかもしれませんね。
なぜ具体的と呼べないかといえば、それは「具体的な行動を表わしていないから」です。
「丁寧」とはどんな行動か?
「早め」とはどんな行動か?
「細心の注意」とは何をどうすれば実現できるのか?
「すぐに」とはどのくらいの時間か?
「コミュニケーションを取る」とはどんな行動のことか?
「もう少し」の頻度は?
接触回数は何回増やせば「もう少し」になるのか?
細かいことかもしれませんが、数値化できて、計測できるものこそが「行動」です。
前回もお話ししたように、自分(マネジャー)が思っている「丁寧」や「早く」の概念は相手にとっては「普通」のこととは限りません。
そこで、マネジャー自らが「これがこちらが求めている行動だ」ということを明確に示さなければならないのです。
「自分は忙しいプレイングマネジャー。そんなに手取り足取りの時間はない」
そう考える人もいるかもしれませんが、そうでなければ「十人十色の普通」を一括に標準化することは難しいでしょう。
逆にメンバー1人ひとりにかける指示の時間が増えてしまうのです。
またあらためてお話ししたいと思いますが、忙しいプレイングマネジャーこそ、こうした「行動を示す具体的な言葉」を考える時間が必要なのです。
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■石田淳 著作紹介②
ベストセラーとなった『教える技術』の読者からの「〝チーム〟を育てるためのポイントも知りたい」という要望に応えたシリーズ第2弾。行動科学を使った「組織づくり」という要素にもフォーカスした一冊。