こんにちは。石田淳です。
企業におけるセーフィティマネジメントのお話を続けましょう。
事故を起こさないようにする、ミスをしないようにする。
この目的のため、
「安全意識を持とう!」「ミスに気をつけよう!」
「作業に集中するように」「確認を怠るな」
などの曖昧な言葉を使うことに意味がないことは、もうおわかりいただけたでしょう。
具体的な行動が示されないスローガンでは、解釈は人それぞれ。どう行動していいかわかりません。
意識する、気をつける、集中する、怠らない…。
そんな目に見えないものは管理なんてできません。
また、前回のメルマガでも触れた「(ヒヤリハットを)報告させる」「叱責する」。あるいは「始末書、報告書などと提出させる」というマネジメント手法も危険です。
報告しても叱責される。
始末書を出してもメリットがない。
そんな行動は継続しません。
「ヒヤリハットはすぐに報告するように」は単なるスローガンとなり、「始末書、報告書の提出」は形式だけの、安全行動の習慣化とは無関係のルールとなるでしょう。
「スローガンでは動かない」
「このルールには効果がない」
そう感じていたとしても、多くの上司がこうしたマネジメントを続けます。
なぜか?
答えは単純です。
それらが「ラクだから」。
拍子抜けするような理由ですが、これが人間の行動原理なのです。
「ラクだから、やる」
「面倒なことは、やらない」
上司も部下も同じ人間。
この原理は変わりません。
「安全意識を持とう!」と言うのは、ラク。
「報告するように!」と言うのは、ラク。
「なにやってるんだ!」と怒鳴るのは、ラク。
「報告書を提出させて終わり」は、ラク。
「いや、会社のこれまでのルールを踏襲しているんだ」
…これもいってみればラクなことですよね。
ここでお伝えしたいのは
「ラクをするのは良くないこと」
「手間を惜しんではいけない」
なんてことではありません。
また、上司にしても「ラクしたい、サボりたい」なんて気持ちはないはずです。
ラクなこと、つまりハードルの低い行動は発生しやすく、面倒なこと、つまりハードルの高い行動は発生しにくい、という行動原理を踏まえたうえでマネジメントに取り組まなければならないということです。
この行動原理については、またあらため掘り下げていきましょう。